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2016年7月29日

日本銀行、「経済・物価情勢の展望(2016年7月)」を公表

   日本銀行は、7月29日、政策委員会・金融政策決定会合において、2016年7月の「経済・物価情勢の展望」を決定し、「基本的見解」を公表した。その概要は次のとおり。

1.わが国の経済・物価の現状

  • わが国の景気は、新興国経済の減速の影響などから輸出・生産面に鈍さがみられるものの、基調としては緩やかな回復を続けている。
  • 消費者物価(除く生鮮食品、以下同じ)の前年比は、小幅のマイナスとなっている。

2.わが国の経済・物価の中心的な見通し
(1)経済情勢

  • 先行きを展望すると、暫くの間、輸出・生産面に鈍さが残り、景気回復ペースの鈍化した状態が続くとみられる。その後は、家計・企業の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、国内需要が増加基調をたどるとともに、輸出も、海外経済が減速した状態から脱していくにつれて、緩やかな増加に向かうことから、わが国経済は、基調として緩やかに拡大していくと考えられる。
  • 今回の成長率の見通しを従来の見通しと比べると、財政面での景気刺激策の効果もあって、見通し期間の前半を中心に上振れている。

(2)物価情勢

  • 先行きを展望すると、消費者物価の前年比は、エネルギー価格下落の影響から、当面小幅のマイナスないし0%程度で推移するとみられるが、物価の基調は着実に高まり、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。

3.上振れ要因・下振れ要因

  • 経済の見通しに対する上振れ、下振れ要因としては、海外経済の動向に関する不確実性、企業や家計の中長期的な成長期待、財政の中長期的な持続可能性がある。
  • 物価に固有の上振れ、下振れ要因としては、企業や家計の中長期的な予想物価上昇率の動向、マクロ的な需給バランス、物価上昇率のマクロ的な需給バランスに対する感応度、輸入物価の動向がある。

4.金融政策運営

  • 2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を継続する。
  • 「物価安定の目標」の実現のために必要な場合には、「量」・「質」・「金利」の3つの次元で、追加的な金融緩和措置を講じる。

(関係資料はwww.boj.or.jpから入手可能)