解説記事 海外

2016年7月24日

G20財務大臣・中央銀行総裁会議、声明を公表

   20か国・地域(G20)財務大臣・中央銀行総裁会議が7月23日から24日にかけて、中国・成都で開催され、同会議の声明が7月24日に公表された。声明の主な内容は以下のとおり。

1.世界経済の状況

  • 世界経済の回復は続いているが、望ましい水準よりも弱いままである。その一方で、成長の利益は包摂性を促進するため、国内的および国際的により幅広く共有される必要がある。
  • 金融市場の変動は引き続き大きく、地政学的な紛争、テロ、難民の動きが引き続き世界の経済環境を複雑にしている。加えて、英国のEUメンバーシップについての国民投票の結果が、世界経済の不確実性を増している。

2.金融政策・財政政策

  • G20は、信認を醸成し、回復を支えるための行動を取っている。
  • 強固で、持続可能で、均衡ある、かつ、包摂的な成長という目標を達成するため、金融、財政および構造政策を個別または総合的に用いるというG20の決意を再確認する。?
  • 金融政策は引き続き、中央銀行のマンデートと整合的に経済活動と物価の安定を支えるが、金融政策のみでは均衡ある成長につながらない。?
  • 財政の強靭性を高め、債務残高対GDP比を持続可能な道筋に乗せることを確保しつつ、財政政策を機動的に実施する。
  • 為替レートの過度な変動や無秩序な動きは、経済および金融の安定に対して悪影響を与え得ることを再確認し、緊密に協議する。

3.成長戦略?

  • 強化された構造改革アジェンダについて、時間をかけて実施および改善することにコミットし、国際機関に継続的な支援を要請する。
  • 世界の貿易を再興させ、投資を引き上げるため、また、経済成長の追及に当たって、過度の不均衡を縮小し、さらなる包摂性を促進するために努力する。
  • 鉄鋼等の産業における過剰生産能力に係る課題に対処するため、コミュニケーションおよび協力を強化するとともに、市場の機能を強化して調整を促すために効果的な措置をとることにコミットする。

4.金融規制への取組み

  • 規制枠組みの残された重要な要素を最終化し、バーゼルIIIやグローバルなシステム上重要な銀行の総損失吸収力(TLAC)の基準および実効的なクロス・ボーダーの破綻処理の枠組みを含む、これまでに合意した金融規制改革の適時、完全かつ整合的な実施に引き続きコミットしている。
  • 公平な競争条件を促進しつつ、銀行セクターにおける資本賦課の全体水準をさらに大きく引き上げることなく、バーゼルIIIの枠組みを2016年末までに最終化するためのバーゼル銀行監督委員会(BCBS)の作業に対する支持を再確認する。
  • シャドーバンキング、資産運用業およびその他の市場型金融活動に関連するものを含め、金融システムにおいて生じつつあるリスクおよび脆弱性を引き続きしっかりと監視し、必要に応じ対処する。

5.租税回避に対する取組み?

  • 未だ、税源浸食と利益移転(BEPS)パッケージにコミットしていない全ての関係・関心ある国および地域に対し、BEPSパッケージへのコミットメントと、枠組みへの対等な立場での参加を求める。
  • 経済協力開発機構(OECD)に対し、2017年6月までに、各地域の税の透明性についての進捗と、グローバル・フォーラムが各国からの追加的審査の要請に応じて、国別審査プロセスをどのように扱うかについて報告することを求める。
  • OECDおよび国際通貨基金(IMF)に対し、成長志向の租税政策および税の安定性の問題についての取組みを継続することを求める。

6.テロとの戦い

  • テロ資金供与のすべての資金源、技術およびチャネルと戦うほか、金融活動作業部会(FATF)のテロ資金対策の新しい統合戦略の実施に関する進展を歓迎し、その実行計画の効果的な実施を求める。

7.気候変動問題?

  • 気候変動に関するパリ協定の適時実施についてのG20の要請と、気候資金に係る先進国および国際機関によるコミットメントおよびその他の国による発表を再確認する。
  • 貧困層への支援の必要性を認識しつつ、中期的に、無駄な消費を助長する非効率な化石燃料補助金を合理化し、段階的に廃止するというG20のコミットメントを再確認する。

(関係資料(英文)は、www.g20.org、関係資料の一部仮訳等は、www.mof.go.jpから入手可能)