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2016年10月11日

バーゼル銀行監督委員会(BCBS)、市中協議文書およびディスカッション・ペーパー「自己資本規制上の引当金の取扱い」を公表

 バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、10月11日、市中協議文書およびディスカッション・ペーパー「自己資本規制上の引当金の取扱い」(原題:Regulatory treatment of accounting provisions)(以下「市中協議文書」および「DP」という。)を公表し、2017年1月13日を期限としてパブリックコメントに付した。

 金融危機後、貸倒引当金に関する発生損失モデル(損失事象が発生した後に引当計上を求める現行の取扱い)が危機対応を遅らせたという批判やそれを受けたG20からの提言等を踏まえ、今後、主要な会計基準(IFRS、米国会計基準)において、貸倒引当金に関する予想信用損失モデルが導入される予定である。この予想信用損失モデルでは、過去の事象や現在の状況に加え、マクロ経済要因(例: GDP、失業率、金利)の動向等、合理的かつ裏付可能(reasonable and supportable)なフォワード・ルッキング情報を引当に反映することが求められている。

 BCBSは、2015年12月、高品質かつ頑健で一貫した予想信用損失モデルの適用を促すガイダンス(「信用リスクと予想信用損失会計に関するガイダンス」)を公表していたところであるが、同時に、予想信用損失モデルの導入を踏まえた自己資本比率規制上の引当金の取扱いについても見直しを検討しており、今般、本件に関する「当面の措置」および「経過措置」について市中協議を実施するとともに、一般貸倒引当金や個別貸倒引当金の区分の見直しを含めた貸倒引当金の取扱いを見直すうえで考えられる「長期的な対応案」について意見募集を行った。

 今後、BCBSは、定量影響度調査(QIS)および市中協議文書へのコメントを踏まえ、市中協議文書に示されている「当面の措置」および「経過措置」に関しては可及的速やかに最終化を目指していく方向としている。なお、DPに示されている「長期的な対応案」については、DPへのコメントおよびQISの結果を踏まえ、方向性を示していく予定としているが、現時点で具体的なタイムラインは設定されていない。


(関係資料(英文)はwww.bis.orgから入手可能)