解説記事 海外

2016年10月15日

APEC財務大臣会合、大臣共同声明を公表

 APEC財務大臣会合の第23回会合が10月15日、ペルー・リマにおいて開催され、同日、大臣共同声明が公表された。主な内容は以下のとおり。

1.世界経済および地域経済

  •  世界経済の成長において、重要でダイナミックなエンジンとなっているAPECの地域は、地域の成長と回復を減退させるという複雑な課題に直面している。強固で、持続可能で、均衡ある、かつ包摂的な成長を達成するためには、全ての政策手段(金融、財政および構造政策)を個別にまた総合的に用いる必要があることを認識。


2.公共政策の強化

  • 2016年の財務大臣会合プロセスのテーマ「統合された強靭なアジア太平洋地域に向けた公共政策の強化」のもと、財務大臣会合プロセスの現代化戦略および「セブ行動計画」(2015年策定。以下「CAP」という。)の実施戦略に合意。
  •  CAPの非拘束かつ自発的な性質を考慮しつつ、2018年および2020年にAPEC全体でのCAP実施の進捗を示す。


3.インフラ投資

  •  経済成長を高め、生産性を上昇させ、雇用創出を促進する方法として、CAPの第4の柱「インフラ開発とインフラ・ファイナンスの促進」に沿って、的確に設計され、持続可能で、強靭なインフラへの投資を、アジア太平洋地域において促進することに引き続きコミット。
  • APEC加盟エコノミーとグローバル・インフラストラクチャ―・ハブ(GIH)との間の協力行動計画を通じて、GIHとの協力を強化。


4.金融包摂

  •  CAPの第1の柱「金融統合の促進」に沿って、金融包摂と金融リテラシーの拡大への努力を深化することにコミット。
  • 2017年、国連を基礎とする政府・企業・国際機関のパートナーシップである、ベター・ザン・キャッシュ・アライアンスと協力し、APEC加盟エコノミーにおける包摂的で責任のあるデジタル・ペイメント・エコシステムを推進。


5.災害リスクファイナンス・保険

  • CAPの「金融強靭性の向上」という第3の柱に沿って、保険普及率を大幅に引き上げ、災害リスク費用を効果的に対処・削減するための先進的な技術や手段を開発する初期段階として、リスク構成部分のデータ収集と保険の必要性を認識。
  • 保険業界、国連、世界銀行による官民パートナーシップである、保険開発フォーラム(IDF)が今年設立されたことを歓迎し、2017年、将来の協力分野を特定するために協働。


6.その他の課題

  • アジア太平洋地域内の租税回避や脱税に対処する努力を深化させることにコミット。
  • 5つのAPECエコノミーが参加する協力覚書という、アジア地域ファンドパスポートに関する今年の進捗を歓迎し、これらエコノミーが、2018年より前に国内的な措置を実施することを奨励。

 

(関係資料(英文)はwww.apec2016.pe、関係資料の一部仮訳はwww.mof.go.jpから入手可能)