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2016年11月23日

欧州委員会、包括的な銀行構造改革案を公表

 欧州委員会は、11月23日、包括的な金融規制見直し案(以下「見直し案」という。)を公表した。

 見直し案は、銀行が引き続き実体経済を支えることを担保しつつ、規制枠組みが金融安定に対する未解決の課題に確実に対応できるようにするため、先般の金融危機を機に実施してきた規制改革を完成させることを目指し、欧州自己資本指令および規制(CRD/CRR)、銀行再生・破綻処理指令(BRRD)および単一銀行破綻処理制度(SRM)を改正することを提案している。

 具体的には、EU域外の国際的な金融システム上重要な金融機関(G-SIIs: Global Systemically Important Institutions)、もしくはEU域内に300億ユーロ以上の総資産を持つEU域外の大手銀行等に対し、中間持株会社などを設立し、EU域内における円滑な破綻処理等を確保することや、バーゼルⅢの枠組みを踏まえ、EU域内に拠点を置く金融機関等に対し、レバレッジ比率3%の最低所要水準を設けたほか、「大きすぎて潰せない(too-big-to-fail)」問題に対処すべく、G-SIIs等に対して十分な損失吸収力(TLAC)の確保を求めている。

 見直し案は、今後、欧州議会および欧州理事会に提出のうえ、審議される見込み。

(関係資料(英文)はec.europa.euから入手可能)