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2016年12月20日

中小企業庁の中小企業政策審議会 基本問題小委員会「金融ワーキンググループ」、報告書を公表

 中小企業庁の中小企業政策審議会 基本問題小委員会「金融ワーキング・グループ」(座長:村本孜成城大学名誉教授)(以下「WG」という。)は、12月20日、「中小企業・小規模事業者の事業の発展を支える持続可能な信用補完制度の確立に向けて」(以下「報告書」という。)を公表した。

 WGは、2015年11月、経済産業大臣から中小企業政策審議会に対し、今後の中小企業・小規模事業者政策のあり方について諮問されたことを受け、信用補完制度の見直しを審議するために設置された。

 本報告書の主な内容は、以下の2点である。


(1)「一般保証」は、現在、責任共有制度(金融機関が融資額の20%のリスクを負担し保証協会は残りの80%のリスクを負担する制度)が導入されているところ、当該負担割合については、企業のライフステージごとに調整する方法も議論されたが、保証割合を変更するよりも、むしろ過度な信用保証への依存を回避し、プロパー融資を含めた債務者への融資全体で実質的にリスクを分担する方が中小企業支援の観点から有効である等の理由から、現行制度を維持することとされた。

(2) 「セーフティネット保証」のうち、「1号(連鎖倒産)」、「2号(事業活動の制限)」、「3号(事故等)」、「4号(自然災害等)」および「6号(破綻金融機関)」については、中小企業にとって突発的な事象を対象としており、その帰責性も乏しいこと等の理由から、現行制度(一般保証とは別枠・100%保証)を維持することとされた。他方、「5号(不況業種)」については、リ・マンショック時に緊急避難的に措置してきた「大規模な経済危機対応」と、主要な原材料供給や需要の著しい減少等により不況に陥る特定の業種を支援する「従来型対応」とに区分し、見直すこととされた。
  具体的には、大規模な経済危機等に対応するために、新たなセーフティネット保証(100%保証、適用期限 原則1年)を創設する一方、従来型対応のセーフティネット保証5号については、制度は継続するものの、「100%」の保証割合は「80%」に改正することとされた。 


 今後、本報告書の内容を踏まえ、中小企業庁において、次期通常国会に中小企業信用保険法改正法案を提出するための準備が進められる予定である。

(関係資料はwww.meti.go.jpから入手可能)