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2016年12月22日

金融審議会「市場ワーキング・グループ」、報告書を公表

 金融審議会「市場ワーキング・グループ」(座長:神田秀樹 学習院大学大学院法務研究科教授)(以下「WG」という。)は、12月22日、報告書を公表した。

 WGは、2016年4月19 日の金融審議会総会・金融分科会合同会合において、金融担当大臣から、「情報技術の進展その他の市場・取引所を取り巻く環境の変化を踏まえ、経済の持続的な成長及び国民の安定的な資産形成を支えるべく、日本の市場・取引所を巡る諸問題について、幅広く検討を行うこと」との諮問がなされたことを受けて、設置された。

 報告書は、WGにおける12回の審議の検討結果等を取りまとめたものであり、「第1章 国民の安定的な資産形成と顧客本位の業務運営」、「第2章 国民の安定的な資産形成におけるETF の活用とインデックス運用の位置付け」、「第3章 取引の高速化」、「第4章 市場間競争と取引所外の取引」、「第5章 取引所の業務範囲」の5章で構成されている。このうち「第1章」と「第2章」の主な内容は以下のとおりである。 


第1章 国民の安定的な資産形成と顧客本位の業務運営

○当局において、顧客本位の業務運営に関する原則を策定し、金融事業者に受入れを呼びかけ、金融事業者が、原則を踏まえて何が顧客のためになるかを真剣に考え、横並びに陥ることなく、より良い金融商品・サービスの提供を競い合うよう促していくことが適当。

○当局が策定する原則には、以下の事項を盛り込むことが適当。

  • 顧客本位の業務運営に係る方針の策定・公表等
  • 顧客の最善の利益の追求
  • 利益相反の適切な管理
  • 手数料等の明確化
  • 重要な情報のわかりやすい提供
  • 顧客にふさわしいサービスの提供
  • 従業員に対する適切な動機づけの枠組み等

○原則を策定するのみならず、以下の方策を併せて実行していくことが適当。

  • 金融事業者の取組みの「見える化」
  • 顧客の主体的な行動(投資知識や理解等のリテラシーの向上、有識者等で構成される第三者的な主体による取組方針や取組状況の評価・公表)
  • 顧客にアドバイス等を行う担い手の多様化
  • 当局による適切なモニタリング、原則についての必要に応じた見直しの検討等


第2章 国民の安定的な資産形成におけるETFの活用とインデックス運用の位置付け

○取引所を中心とした関係者がETFの商品性や仕組み等をわかりやすく解説した資料を作成し、広く周知を図っていくことが重要。

○販売会社において投資信託を販売する際に、同種のETFがある場合には顧客にそれらの商品を比較することができる情報が提供されるよう、取引所において説明資料を作成することが適当。

○取引所のホームページのETF銘柄一覧において、投資家に対する情報提供を拡充することが適当。

○ETFを活用した少額積立投資を目的とする商品設計に関し、関係者において検討が行われることが適当。


(関係資料はwww.fsa.go.jpから入手可能)