証券監督者国際機構(IOSCO)は、2月23日、非清算デリバティブに関する変動証拠金規制の実施に係る声明(以下「IOSCO声明」という。)を公表した。
バーゼル銀行監督委員会(BCBS)およびIOSCOは、2013年9月に最終報告書「中央清算されないデリバティブ取引に係る証拠金規制」(以下「最終報告書」という。)を公表し、2015年12月1日から規制を実施することとしていた。しかし、BCBSおよびIOSCOは、証拠金規制の枠組みの実施が複雑であることを踏まえ、2015年3月に最終報告書を改訂し、変動証拠金の授受義務の実施時期については、取引規模により、2016年9月1日適用期限分と2017年3月1日適用期限分とに分け、段階的な適用を認めていた。
今般のIOSCO声明では、変動証拠金の第2段の適用期限が2017年3月1日であることを再確認したうえで、比較的小さな金融機関等の市場参加者において、変動証拠金の算出および授受のための体制整備等が十分になされておらず、そのような参加者が十分に規制要件を満たせない場合には、自社のポジションをヘッジする能力が低下し、流動性に影響を与える可能性があることを指摘している。このため、IOSCOメンバー(国・地域)に対し、関連する規制上あるいは監督上の枠組みが許容する範囲内において、変動証拠金規制を導入および適用するに当たり、公正かつ規律のとれた市場を確保するために必要な対策を講じることを検討すべきであるとしている。
なお、非清算デリバティブに関する変動証拠金規制の実施については、以下のとおり各国規制当局から声明等が公表されている。
2月13日 | 米商品先物取引委員会(CFTC)、2017年9月1日まで規制の執行を猶予することを内容としたノー・アクション・レターを公表。 |
2月23日 | 米連邦準備制度理事会(FRB)および米通貨監督庁(OCC)、非清算デリバティブに関する変動証拠金規制の検査方法に係るガイダンスを公表。 |
2月23日 | 欧州監督機構(ESAs)、各国当局がリスクベースの監督アプローチを適用することを期待する内容の声明を公表。 |
2月23日 | 英金融行為規制機構(FCA)、IOSCOおよびESAsの声明を歓迎するとともに、リスクベースの監督アプローチ等を採用する内容の声明を公表。 |
(関係資料(英文)はwww.iosco.org、www.cftc.gov、www.federalreserve.gov、www.eba.europa.eu、www.fca.org.ukから入手可能)