金融庁は、11月10日、「平成29事務年度 金融行政方針」(以下「本方針」という。)を公表した。
金融庁は、2015年から、金融行政が何を目指し、いかなる方針で行政を行っていくかを「金融行政方針」として公表している。また、その進捗状況や実績等を継続的に評価し、現状分析や問題提起等とあわせ、毎年「金融レポート」として公表するとともに、その評価を翌事務年度の金融行政方針に反映させることとしている。
本方針は、金融行政運営の基本方針として、これまでと同様に、金融システムの安定/金融仲介機能の発揮、利用者保護/利用者利便、市場の公正性・透明性/市場の活力のそれぞれを両立させることを通じ、企業・経済の持続的成長と安定的な資産形成等による国民の厚生の増大を目指すことを掲げている。本方針の主なポイントは以下のとおり。
○金融当局・金融行政運営の改革
- 金融庁の改革として、組織文化(カルチャー)の変革、ガバナンスの改革、組織の見直し
- ルールとプリンシプルのバランスを重視し、ベスト・プラクティスの追求や将来を見据えた(フォワードルッキング)視点を持った検査・監督への見直し
○金融上の課題の包括的検討
- 金融を巡る環境の変化等に伴う新たな課題の検討においては、国民経済全体と金融との関連という切り口から、金融の全体像について包括的かつ将来の変化も見据えて検証
○国民の安定的な資産形成に資する金融・資本市場の整備
- 金融事業者による顧客本位の業務運営の確立・定着に向けて、金融機関の取組みの「見える化」を促進
- 家計の安定的な資産形成を進めるうえで、長期・積立・分散投資の定着を促進
- 投資家の投資判断に必要な情報を十分かつ適時に分かりやすく提供することや、建設的な対話に資する情報開示を促進
○ 金融仲介機能の十分な発揮と健全な金融システムの確保
- ビジネスモデルの持続可能性等に深刻な課題を抱えている地域金融機関に対し検査を実施し、課題解決に向けた早急な対応を促進
- 金融仲介(企業の価値向上支援等)の発揮状況を表す客観的な指標群(KPI)の選定・公表による金融機関の 取組みの「見える化」
○IT技術の進展等への対応
- 業態別の法体系から機能別・横断的な法体系への見直しの検討
(関係資料はwww.fsa.go.jpから入手可能)