中央銀行総裁・銀行監督当局長官グループ(GHOS)は、12月7日、バーゼルIIIの最終化に合意し、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)が、同日付で、「バーゼルIII最終規則文書」等を公表した。
BCBSは、2007年から始まった金融危機に対応し、ショックに対する金融システムを十分に向上させるための一連の改革に加え、2013年、「規制枠組み:リスク感応度、簡素さ、比較可能性のバランス」と題するディスカッション・ペーパーを提示する等、バーゼルIIIの見直し作業を行ってきた。
今般の合意による規制改革は、主に銀行のリスクアセットの過度なばらつきの軽減に資するものであり、リスクアセット対比でみた自己資本比率の比較可能性や透明性を向上させるものである。
主な内容は以下のとおり。
- 信用リスクの標準的手法の見直しにより、現行手法の頑健性やリスク感応度を向上。
- 信用リスクの内部モデル手法の見直しにより、低デフォルト・ポートフォリオに対する最も先進的な内部モデル手法の使用を制限。
- 内部モデル手法の廃止および新たな標準的手法の導入を含むCVA(信用評価調整)リスクの枠組みの見直し。
- オペレーショナル・リスクに係る既存の標準的手法および先進的計測手法の廃止、新たな標準的手法の導入。
- レバレッジ比率の計測手法の見直しに加え、レバレッジ比率バッファーの導入により、グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)に対し、資本サーチャージの50%分のTier1 資本をバッファーとして上乗せ。
- 各種内部モデル手法により算出された銀行のリスクアセットが、全体として、バーゼルIII規制の標準的手法の枠組みで計算されたリスクアセットの72.5%を下回らないようにする総アウトプット・フロアの導入。銀行は、標準的手法のもとにおけるリスクアセットの開示も求められる。
今後、BCBSはバーゼルIIIが各地域で整合的に実施されることを確実なものとするため、整合性評価プログラム等を通じ、バーゼルIII規制の実施状況を引き続き注意深くモニタリングしていくとしている。
なお、見直し後の規則は、2022年1月から、5年間の移行期間を経て、2027年までの完全実施が求められている。
(関係資料はwww.bis.orgから入手可能)