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2018年9月26日

金融庁、「変革期における金融サービスの向上にむけて・金融行政のこれまでの実践と今後の方針(平成30事務年度)」を公表

 金融庁は、9月26日、「変革期における金融サービスの向上に向けて・金融行政のこれまでの実践と今後の方針・(平成30事務年度)」を公表した。本事務年度においては、PDCAサイクルにもとづく業務運営強化の観点から、従来の「金融レポート」と「金融行政方針」を統合している。

 「金融行政の重点施策」として挙げられている6項目および各項目における主な「本事務年度の方針」の概要は以下のとおり。

 

1.デジタライゼーションの加速的な進展への対応~金融デジタライゼーション戦略~

  • 多様なプレイヤーが適切に情報を利活用し、利用者目線に立って競争することを強力に後押し
  • 送金にかかるXML電文への移行化の着実な推進等
  • 金融機関における新たな実効性あるサイバーリスクへの対応策の推進
  • 金融規制体系をより機能別・横断的なものにしていくことについて金融審議会「金融制度スタディ・グループ」で引き続き検討

 

2.家計の安定的な資産形成の推進

  • 「顧客本位の業務運営」の確立と定着(顧客アンケート調査による実態把握や、さらなる「見える化」の促進)
  • 高齢社会における金融サービスのあり方の検討(金融審議会「市場ワーキング・グループ」における、必要な制度的枠組みや、金融業界が取り組むべき方向性と顧客の留意すべき事項についての原則等の取りまとめ等)

 

3.活力ある資本市場の実現と市場の公正性・透明性の確保

  • ガバナンス改革の更なる推進(来年の株主総会シーズンまでに検証結果を公表)
  • 企業情報の開示の充実(プリンシプルベースでのガイダンスの策定、金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」が取りまとめた報告に盛り込まれた諸施策の実施)

 

4.金融仲介機能の十分な発揮と金融システムの安定の確保 ~経営者の役割とガバナンス~

  • 経営者保証に関するガイドラインの活用の促進(Q&Aの改正等の環境整備等)
  • 競争のあり方についての政府全体での議論への貢献
  • 他業態からの参入等に際しての銀行業として独立したビジネスモデルの構築や利用者保護等の適切な確保の確認
  • ゆうちょ銀行の預入限度額に関する議論への適切な対応

 

5.顧客の信頼感・安心感の確保 ~金融機関の行為・規律に関する課題~

  • コンプライアンス・リスク管理に関する、リスク要因やその程度の業態横断的な把握・評価およびメリハリを付けたモニタリングの実施
  • 非金融系企業グループに関するグループ横断的なリスクの実態把握
  • 「投資用不動産向け融資」に関する横断的なアンケート調査の実施および検査を活用した深度あるモニタリングの実施

 

6.世界共通の課題の解決への貢献及び当局間のネットワーク・協力の強化

  • 業界団体や金融機関等に対する、マネロン・テロ資金供与リスクへの適切な対応、連携・共同化を通じた態勢整備の強化の促進

 

 これら6項目の他、「金融当局・金融行政運営の改革」における「検査・監督の見直し」の1つとして、貸出の分類・償却・引当について、「融資に関する検査・監督実務についての研究会」において議論・整理していくとしている。

 

(関係資料はwww.fsa.go.jpから入手可能)