解説記事 国内

2018年1月11日

経済産業省「商工中金の在り方検討会」、提言(中間取りまとめ)を公表

経済産業省「商工中金の在り方検討会」(以下「本検討会」という。)は、1月11日、提言(中間取りまとめ)(以下「本提言」という。)を公表した。   本検討会は、経済産業大臣の指示にもとづき、株式会社商工組合中央金庫(以下「商工中金」という。)の危機対応業務における不正行為事案の根本原因を踏まえ、商工中金のビジネスモデルのあり方、危機対応業務の見直し、ガバナンスの徹底強化など、商工中金のあり方を幅広く検討するため、2017年11月に設置された。   本提言は、本検討部会が7回の開催を経て、当面のものとして委員の意見の収束がなされたため、取りまとめが行われたもので、主な内容は以下のとおり。 1.商工中金のビジネスモデルのあり方

  • 地域金融機関と信頼関係にもとづき連携・協業しながら、生産性が低く、経営改善、事業再生や事業承継等を必要としている中小企業やリスクの高い事業に乗り出そうとしているがうまく進められない中小企業に対する支援に重点的に取り組み、当該企業の生産性向上や地方創生に貢献し、これを通じて適正な金利や手数料等を得るビジネスモデルを構築していくべき。
  • 今回の不正事案を契機に解体的出直しを図るため、今後4年間、政府出資の下で、上記分野の取組みに全面注力すべき。
  • 上記分野に重点化していくための行動規範(クレジットポリシー)やKPIを含む業務改善計画を策定・公表することとすべき。

2.商工中金の危機対応業務の見直し

  • 現行の危機対応業務から災害対応を除き全面撤退し、危機事象「デフレ脱却等」を廃止すべき。
  • 今後は政策目的を「真の危機時における流動性供給」に絞り込み、危機事象や融資制度等の抜本的な見直しを実施すべき。
  • 真の危機が発生した際に、危機関連保証等のセーフティネット保証を活用した民間金融機関の対応と、上記見直し後の危機対応業務について、パフォーマンスを徹底的に比較検証し、商工中金の危機対応業務を実施する責務が引き続き必要かどうか検討すべき。併せて、危機時の政策的対応についても不断に幅広く検討していくべき。

3.持続可能なビジネスモデルを実現するための商工中金のガバナンス強化

  • 代表取締役や過半以上の社外取締役などを含めて外部人材を積極登用して経営体制の刷新を図るべき。
  • 政府出資があり、官・民の規律が混在する間は、商工中金の外部に独立性の高い第三者委員会を設置して強力なガバナンスを効かせていくべき。
  • 商工中金は、第三者委員会による評価を真摯に受け止めて、役職員の人事や報酬・給料に明確に反映させるとともに、その結果を第三者委員会に報告することとすべき。

4.完全民営化について

  • 上記「1.」の当該ビジネスモデルが確立されたかどうかの徹底検証と上記「2.」の危機時の対応の検証・検討を踏まえて、完全民営化の実行への移行を判断する。

(関係資料はwww.chusho.meti.go.jpから入手可能)