解説記事 国内

2018年3月26日

金融庁および東京証券取引所「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」、提言「コーポレートガバナンス・コードの改訂と投資家と企業の対話ガイドラインの策定について」を公表

金融庁および東京証券取引所が設置している「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(座長:池尾和人 慶應義塾大学経済学部教授)は、3月26日、提言「コーポレートガバナンス・コードの改訂と投資家と企業の対話ガイドラインの策定について」(以下「提言」という。)を公表した。  提言は、コーポレートガバナンス改革をより実質的なものへと深化させていくため、コーポレートガバナンス・コードの改訂を提言するとともに、スチュワードシップ・コードおよびコーポレートガバナンス・コードの実効的な「コンプライ・オア・エクスプレイン」を促すため、機関投資家と企業の対話において重点的に議論することが期待される事項を取りまとめた「投資家と企業の対話ガイドライン」(以下「対話ガイドライン」という。)の策定を提言するものであり、コーポレートガバナンス・コードの改訂と対話ガイドラインの策定に当たっての基本的な考え方を示すとともに、両者の具体案を提示している。   基本的な考え方の主な論点において重要または必要とされた内容は以下のとおり。 ○経営環境の変化に対応した経営判断

  • 事業ポートフォリオの見直しなどの果断な経営判断
  • 自社の資本コストを的確に把握すべきことの明確化

○投資戦略・財務管理の方針

  • 戦略的・計画的な設備投資・研究開発投資・人材投資等
  • 投資戦略と整合的で、資本コストを意識した適切な財務管理

○CEOの選解任・取締役会の機能発揮等

  • CEOの育成・選任に向けた客観性・適時性・透明性ある手続の確立
  • CEOの選解任プロセスの独立性・客観性を強化するうえでの指名委員会の設置・活用
  • 取締役会が機能を十分に発揮していくうえでのジェンダーや国際性の面を含む多様性の十分な確保

○政策保有株式

  • 個別の政策保有株式の保有目的や保有に伴う便益・リスクを具体的に精査したうえでの保有の適否の検証、分かりやすい開示・説明
  • 政策保有株式の縮減に関する方針・考え方など、政策保有に関する方針の開示
  • 政策保有株式を保有させている側に対する規律付け  

 提言を受け、金融庁は3月26日に、対話ガイドライン案を、東京証券取引所は3月30日に、コーポレートガバナンス・コード改訂案を、それぞれ4月29日を期限としてパブリックコメントに付した。 (関係資料はwww.fsa.go.jpから入手可能)