解説記事 海外

2018年3月20日

G20財務大臣・中央銀行総裁会議、声明を公表

20か国・地域(G20)財務大臣・中央銀行総裁会議が3月19日から20日にかけて、アルゼンチン・ブエノスアイレスで開催され、同会議の声明が3月20日に公表された。声明の主な内容は以下のとおり。 1.世界経済の状況等

  • 世界経済の見通しは、引き続き改善しているが、下方リスクは根強く、中期的には、成長を引き上げ、より包摂的にするという課題が残っている。
  • 財政政策は、経済・金融の強靭性を高め、また債務残高対GDP比を持続可能な道筋に乗せることを確保しつつ、機動的に実施し、成長に配慮し、質の高い投資に優先したものにするべきである。
  • 為替レートの過度な変動や無秩序な動きが、経済および金融の安定に対して悪影響を与えうることを認識する。
  • 通貨の競争的切下げを回避し、競争力のために為替レートを目標としない。

2.デジタル化を含むテクノロジー

  •  変革を起こす技術は、新しいビジネス手法や新しい産業、新しくより良い仕事、より高いGDP成長や生活水準といった、計り知れない経済的機会をもたらすことが期待されると同時に、その移行は個人、ビジネス、政府に対する課題を生み出す。
  •  好機を活用し、すべての人々が恩恵を享受できるよう、国際協調を含む政策対応が必要である。

3.グローバル金融システム

  • 金融システムにおいて生じつつあるリスクおよび脆弱性を引き続きしっかりと監視し、必要に応じ対処する。
  • 完全、適時かつ整合的な規制改革の実施および最終化と、実質的な意図せざるいかなる結果も特定・対処し、規制改革がその目的を達成することを確保するための評価を行うことに、引き続きコミットしている。

4.暗号資産

  • 暗号資産の基礎となる技術を含む技術革新が、金融システムの効率性と包摂性およびより広く経済を改善する可能性を有していることを認識する。
  • 暗号資産は、ソブリン通貨の主要な特性を欠いており、ある時点で金融安定に影響を及ぼす可能性がある。
  • 暗号資産に適用されるかたちでのFATF基準の実施にコミットし、FATFによるこれらの基準の見直しに期待し、FATFに対し世界的な実施の推進を要請する。
  • 国際基準設定主体がそれぞれのマンデートにしたがって、暗号資産およびそのリスクの監視を続け、多国間での必要な対応について評価することを要請する。

5.租税回避に対する取組み

  •  世界規模で公正、現代的な国際課税システムのための取組みを続けるとともに、国際協力および成長志向の租税政策を歓迎する。

6.税の透明性

  • 2018年中に税に関する金融口座情報の自動的交換を開始する予定の法域は、必要なすべての措置が期限内に講じられるよう確保すべきである

7.犯罪との闘い

  • テロ資金供与、マネーロンダリングおよび大量破壊兵器拡散資金供与との闘いの強化にコミットする。
  • 世界中でのFATF勧告の、完全、効果的かつ迅速な履行を求める。
  • 大量破壊兵器拡散資金供与に対抗する取組みの強化をFATFに求める。

(関係資料(英文)は、www.g20.org、関係資料の一部仮訳等は、www.mof.go.jpから入手可能)