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2018年4月11日

金融庁「金融仲介の改善に向けた検討会議」、報告書「地域金融の課題と競争のあり方」を公表

金融庁に設置されている「金融仲介の改善に向けた検討会議」は、4月11日、報告書「地域金融の課題と競争のあり方」(以下「本報告書」という。)を公表した。  本報告書は、人口減少による資金需要の継続的な減少など、地域金融機関を取り巻く経営環境が構造的に厳しさを増している中で、地域経済や地域の企業・住民の立場から最適な競争のあり方について議論した内容を取りまとめたものである。   本報告書では、「地域金融における競争状況の評価のあり方」、「人口減少下での地域金融機関の競争と経営の安定性」および「地域金融機関の経営統合への対応」を概観し、「新たな競争政策の枠組み」を提示している。  この「新たな競争政策の枠組み」について 本報告書は、競争当局と金融監督当局が課題を共有し、共通の枠組みの下で連携を深め、地域住民・企業の厚生の向上に真に資する競争政策を遂行するうえで、具体的には以下の点が必要であるとしている。

  •  地域金融機関の経営統合については、金融庁による事後的なモニタリングが有効であることを踏まえ、競争当局と金融庁が連携し、地域金融の産業構造や特性を踏まえた審査・弊害への対応を実施することを通じ、地域金融機関による、地域金融インフラの確保と、金融仲介の質の向上を後押ししていくこと
  • 時代とともに産業構造が変化する中で、商品サービスの安価な提供に止まらず、イノベーションの促進や付加価値の向上に資する観点からも競争のあり方を考えること
  • 経済の成長局面で確立されてきたこれまでの枠組みの下で、競争当局がいわば執行機関として、現行法を適用するだけでは、人口減少下における地域のインフラ確保や、経済産業構造の変化に適切に応えることが難しくなってきているため、日本経済の変化を踏まえた総合的な競争政策のあり方を政府全体として議論・検討すること。

     

    (関係資料はwww.fsa.go.jpから入手可能)