解説記事 国内

2018年6月19日

金融審議会「金融制度スタディ・グループ」、中間整理を公表

金融審議会「金融制度スタディ・グループ」(座長:岩原紳作早稲田大学大学院法務研究科教授・東京大学名誉教授)(以下「SG」という。)は、6月19日、中間整理を公表した。   SGは、2017年11月16日に開催された金融審議会総会・金融分科会合同会合において、麻生太郎金融担当大臣から、機能別・横断的な金融規制の整備等、情報技術の進展その他のわが国の金融を取り巻く環境変化を踏まえた金融制度のあり方について検討を行うことについて諮問がなされたことを受けて設置された。中間整理は、SGにおける9回の審議の結果を踏まえた論点整理を行ったものである。中間整理の主な内容は、以下のとおり。

1.機能別・横断的な金融規制体系の検討の必要性

  • ITの進展や利用者ニーズを起点としたアンバンドリング・リバンドリングの動きなどを踏まえると、イノベーションの促進や利用者利便の向上等の観点から、各プレイヤーを各業法の業態に当てはめて規制するよりも、金融規制体系をより機能別横断的なものとし、同一機能・同一リスクには同一のルールを適用することを目指すことが重要な課題。 

2.金融の「機能」の分類

  • 金融規制体系をより機能別横断的なものとし、同一機能・同一リスクには同一のルールの適用を目指すため、さしあたり、金融機能を「決済」、「資金供与」、「資産運用」および「リスク機能」の4つに分類し、整理。

3.金融の各「機能」において達成されるべき利益および「規制」の態様

  • 上記「2.」の各「機能」において達成されるべき利益を、以下のとおり整理。

   - 「機能」の確実な履行

   - 利用者に対する情報提供等

   - 利用者資産の保護

   - 利用者情報の保護

   - マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与の防止

   - システミックリスクの顕在化の防止

4.業務範囲規制やセーフティネット等の主体別規制の考え方と機能別・横断的な規制体系

  • 金融・非金融の境界があいまいになりつつある中、既存の銀行・銀行グループに係る重厚な業務範囲規制・財務規制・セーフティネットについて、機能別・横断的な金融規制体系の考え方に照らして過剰となっている部分があれば、それらの適切な見直し。

5.商品・サービスの提供プロセス等に着目したルール整備のあり方

  • 商品・サービス提供の代理・媒介プロセスについてルールをできるだけ共通化。
  • プラットフォームを通じた金融取引に関しては、プラットフォーム提供者(契約相手を見つけようとする資金の出し手と受け手に介在して、契約を成立させる仕組みを提供する者)に対する規律のあり方を検討。

6.今後の課題

  • 各「機能」の中で、個々の業務の内容やリスクの差異をどう認識・測定し、ルールに差異を設けていくかを含めた、より具体的な制度設計。
  • 「企業・経済の持続的成長と安定的な資産形成等による国民の厚生の増大」という金融行政の目標との整合性。
  • 利用者情報の適切な保護に加え、情報の適切な利活用をしやすくなるような環境整備。

(関係資料はwww.fsa.go.jpから入手可能)