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2018年7月31日

日本銀行「政策委員会・金融政策決定会合」、強力な金融緩和継続のための枠組み強化を決定

 日本銀行は、7月31日、政策委員会・金融政策決定会合において、強力な金融緩和を粘り強く続けていく観点から、政策金利のフォワードガイダンスを導入することにより、「物価安定の目標」の実現に対するコミットメントを強めるとともに、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の持続性を強化する措置を決定した。

 具体的な措置内容のうち、前回会合からの変更点は以下のとおり。

1.  政策金利のフォワードガイダンス

 2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在の極めて低い長短金利の水準を維持することを想定している。

2.  金融市場調整方針

 長期金利について、10年物国債金利がゼロ%程度で推移するように、長期国債の買入れを行う際に、金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとし、買入れ額については、保有残高の増加額年間約80兆円をめどとしつつ、弾力的な買入れを実施する。 

3.  資産買入れ方針

 ETFおよびJ-REITの買入れを行う際に、資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買入れ額は上下に変動しうるものとする。

 

 また、上記1.・3.の措置と合わせて、実務的な対応として、以下の対応を行うことを決定した。

 4.  政策金利残高の見直し

 日本銀行当座預金のうち、マイナス金利が適用される政策金利残高を長短金利操作の実現に支障がない範囲で、現在の水準から減少させる。

 5.  ETFの銘柄別の買入れ額の見直し

 ETFの銘柄別の買入れ額を見直し、TOPIXに連動するETFの買入れ額を拡大する。 

 

 日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続することとしており、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続し、金融政策運営の観点から重視すべきリスクの点検を行うとともに、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う、としている。

 

(関係資料はwww.boj.or.jpから入手可能)