企業会計基準委員会(ASBJ)は、8月30日、「金融商品に関する会計基準の改正についての意見の募集」(以下「本意見募集文書」という。)を公表し、11月30日を期限として意見を募集している。 ASBJは、日本基準を国際的に整合性のあるものとするための取組みの一つとして金融商品に関する会計基準を挙げており、本意見募集文書は金融商品会計の開発に着手するか否かを決定する前の段階で、適用上の課題とプロジェクトの進め方に対する意見を幅広く把握するために公表されたものである。本意見募集文書の主な内容は以下のとおり。 (1)プロジェクトにおいて検討する範囲
- 今回のプロジェクトにおいて検討する範囲として、「金融商品の分類及び測定」、「金融資産の減損」および「ヘッジ会計」の3つの分野を念頭に置く
(2)その他の関連する事項
- 開発する会計基準の内容(国際的に整合性を図る対象、整合性を図る程度、連結財務諸表および個別財務諸表上の取扱い)
- 「金融検査・監督の考え方と進め方(検査・監督基本方針)」との関係(現時点では会計基準の開発に関連する可能性が明らかでないため、影響については記載しない)
(3)IFRSの規定を基礎とした場合の各分野における主要な論点
a 金融商品の分類及び測定
- 株式についてOCIオプションを適用した場合、当該株式の売却時に損益が計上されず、また減損損失が計上されないこと
- 非上場株式について、貸借対照表において公正価値測定が求められること 等
b 金融資産の減損
- 日本基準のように債務者の状況に応じた債権区分(一般債権、貸倒懸念債権および破産更生債権等)に対応する貸倒引当金を計上するのではなく、個々の債権単位で債権の信用リスクが当初認識以降に著しく増大しているかどうかを評価したうえで予想信用損失を測定し、個々の債権の信用リスクにもとづく予想信用損失を測定する一方、個々の債権に対する信用リスクのデータを整備し、当該データを保存するプロセスの整備やシステムの改修等が必要となること
- 将来予測的な情報にもとづき、企業の信用リスクを適切に反映する予想信用損失を測定する一方、将来予測的な情報を反映するためのデータの整備やその反映方法の妥当性を検証するプロセスの構築等が必要となること
c ヘッジ会計
- ヘッジ有効性の定量的な評価が求められず、事後的にヘッジ有効性を満たさなくなった場合でも一定の状況ではヘッジ会計が継続される一方、原則として、ヘッジ非有効部分を算定して損益に認識すること 等
(関係資料はwww.asb.or.jpから入手可能)