あっせん委員会の手続を中心によくある質問とその回答を取りまとめました。

1.あっせんとはどういうものですか?

  • あっせんとは、お客さまと銀行(当事者)との取引などにおけるトラブルを中立・公正な第三者で構成する「あっせん委員会」が、当事者からの資料の提出やそれぞれの主張を聴取したうえで、あっせん案(和解案)を提示し、双方が納得したうえで、解決を図る制度です。
  • お客さまと銀行が提示されたあっせん案に合意すれば、あっせんは成立しますが、一方当事者が同意しないなど、「あっせん委員会」があっせん成立の見込みがないと判断した場合等には、紛争解決手続を打ち切ることになります。

2.あっせん委員会とはどういうものですか?

  • あっせん委員会とは、弁護士、消費者問題専門家、金融業務等に係る有識者等で構成される中立・公正な委員会です。 
  • あっせん委員を選任する際には、すべてのあっせん委員候補者に対し、あっせん委員会運営懇談会外部有識者委員またはあっせん委員が面談し、中立・公正な立場で判断ができるか、また加入銀行との特別な利害関係がないことなど、あっせん委員としての適性を十分に確認したうえで、選任を行っています。なお、銀行員はあっせん委員になっておりません。

3.裁判とあっせん手続はどのように違うのですか。

  • 裁判は、判決により、国家権力による強制的解決を図るものであるのに対し、あっせん手続は、当事者双方の自由意思に基づく自主的解決を目指すものです。
  • あっせん手続は、簡易・迅速な制度です。裁判と比べて、どなたでも申立書などの書類を作成でき、裁判よりも短い期間で手続が終了するものとなっています。
  • 裁判では、証拠や証言にもとづき事実の認定を行い、結論(判決)を導き出しますが、あっせん手続においては、当事者双方が互譲し合うことで、紛争の解決を目指します。
  • 裁判は公開のもとで審議されますが、あっせん手続は非公開で審議が行われ、当事者の個人情報も第三者には開示されません。

4.今、訴訟で争っている事案についても、あっせん手続を利用することは可能ですか?

  • 訴訟が係属中であってもあっせん手続を利用することはできます。
    ただし、判決が確定し、または和解が成立した場合には、あっせん委員会は、業務規程第27条2項の「訴訟が終了または民事調停が終了したものである場合」または業務規程第33条9項の「その他あっせんを行うのに適当ではない事実が認められた場合」に当たるとして、紛争解決手続を行わない、またはあっせん手続を打ち切ることになります。

5.紛争解決手続に手数料はかかりますか?

  • 紛争解決手続の手数料は、無料です。
    ただし、お客さま側で発生する費用、例えば、あっせん委員会の事情聴取に出席するための交通費、郵送費、コピー代、本人確認書類を用意するための費用などは、お客さま自身のご負担になります。

6.申立から終了までの期間はどのくらいかかりますか?

  • お客さまからの申立書を受け付けてから和解契約書の締結までの所要期間は、概ね6か月~8か月程度となっています。

    • 申立てから適格性審査まで  2か月程度
    • 適格性審査から事情聴取まで 2か月程度
      (この間主張書面、照会事項に対する回答書面の提出を依頼します)
    • 和解契約締結の調印まで   2か月程度

7.あっせん手続には弁護士のような代理人が必要なのでしょうか?

  • あっせん手続は、お客さまご本人により全ての手続ができるものとなっております。したがいまして、必ずしも弁護士などの代理人を必要とする手続ではございません。
  • ご希望により代理人を立てることも可能ですが、代理人となり得る者の範囲は、原則として、
    (1)親権者 (2)相続人 (3)法定後見人 (4)弁護士
    に限られます。

8.申立書の書き方や、必要となる資料について教えてください。

(1)申立書

 申立書は、全国銀行協会ウェブサイトでダウンロードするか、または電話により相談室にご依頼いただければご郵送いたします。

  • 申立書は、お客さまが相手方に求める内容を記載したものです。
    必要記載事項としては、以下のものがあります。
    [1]お客さま(申立人)の氏名、住所等
    [2]紛争の相手方銀行名および支店名
      (例)〇〇銀行〇〇支店
    [3]申立ての趣旨
      (例)〇〇銀行で平成○○年○月○日に購入した投資信託「○○○○」で被った損失○○円を補てんしてほしい など
    [4]紛争の争点
      (例)私は、購入した商品が〇〇であるとの説明を受けていなかった など
    [5]資料・証拠資料

※ 申立書の最後の頁には、あっせん委員会への申立てにあたって、お客さまに事前にご同意していただきたい事項([1]お客さまの個人情報等の取扱、[2]反社会的勢力に対する対応等)を記載しています。

(2)添付資料

[1]申立書に記載した氏名、住所が記載されている本人確認書類
 ・個人の場合:運転免許証やパスポートなどの原本またはその写し
 ・法人の場合:現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書(発行日から6か月以内のもの))
[2]申立ての裏付けとなる証拠資料
 (例)契約書、パンフレット など

詳しくは、ウェブサイトをご覧ください。

9.事情聴取開催会場はどこになりますか?

  • あっせん委員会は、東京、大阪を始めとした、各地の銀行協会で開催しています。
  • お客さまの身体上の理由等がある場合には、最寄りの施設等において、タブレット端末を用いて事情聴取を開催することも可能ですので、あっせん委員会事務局にその旨をご相談ください。

10.事情聴取には本人(申立人)が出席しないといけないのですか?

  • 事情聴取は、お客さま(申立人)、相手方双方に対して直接質問をし、争点を明確にし、あっせん案、和解契約書案の根拠となる問題点を明らかにすることを目的としております。したがって、紛争となった契約当時の事情にもっとも詳しいお客さまご本人の出席をお願いしています。 
  • ご高齢の方、車椅子を利用される方、1人の出席では不安がある方については、あっせん委員会事務局にその旨をご相談ください。

11.事情聴取の具体的な流れについて教えてください。

  • 事情聴取当日の具体的な流れ
    あっせん小委員会の事情聴取では、あっせん委員3名(弁護士、消費者問題専門家、金融業務等に係る有識者等)および事務局付き弁護士、事務局担当者が対応します。
    事情聴取は、原則として、お客さま(申立人)、銀行、別々に行います。

例:午後1時30分開始の事情聴取の場合※

時 間内 容
午後1:20申立人受付開始
本人確認および控え室へ誘導
1:30【あっせん委員会 開催】
あっせん小委員長から委員の紹介
主担当の委員から事情聴取開始
(事情聴取の時間は概ね40~50分程度)
2:20申立人退室
2:30相手方銀行 入室
主担当の委員から事情聴取開始
(事情聴取の時間は概ね30~40分程度)
3:10相手方銀行 退室
3:15あっせん委員間の討議、あっせん原案提示の可否、原案の内容の検討
3:45申立人へあっせん原案の提示・説明
(申立人退室)
4:05相手方銀行へあっせん原案の提示・説明
(相手方退室)
4:25申立人に最終案の提示、今後の手続の説明
(申立人退室、退館)
4:30相手方に最終案の提示、今後の手続の説明
(相手方退室、退館)

※1つの事例であり、このスケジュールよりも短時間に終わる場合も、さらに長時間になる場合もあります。

12.事情聴取の際に銀行と直接話をすることはできますか?

  • 原則として、事情聴取の際に、お客さまと銀行の間で直接お話をする機会はございません。あっせん委員会では、お客さま、銀行それぞれから、あっせん委員に率直にお話いただくことが紛争を解決するうえで重要だと考えているためです。
  • お客さまが銀行に伝えたいご意見等については、あっせん委員がお聞きしたうえで、銀行にお伝えいたします。

13.同じ商品を複数の銀行から購入したので、これらの銀行全てに申立てをしたときの結論はすべて同じになりますか?

  • 同じ商品であったとしても、銀行によって紛争に至る経緯や、主張内容も異なる場合もございますので、あっせん委員会は個別事案ごとに判断することになります。A銀行に対するあっせん委員会の判断が、B銀行に対してもそのまま当てはまるものではありません。

14.和解が成立しなかった場合、その後どのような対応がとれますか?

  • 残念ながら、和解が成立しなかった場合には、あっせん手続は終了となります。過去にあっせん委員会において手続が終了した事案は、原則として再度の申立てを行うことはできません。
  • その後の対応は、訴訟等があげられますが、お客さまご自身のお考えもあると存じますので、まずは弁護士等の専門家にご相談いただくことなども選択肢かと思われます。

15. 紛争解決手続の実施状況について教えてください。

  • ウェブサイトで、あっせん委員会の紛争解決手続の概要、申立受付件数、終了件数等の紛争解決手続の実施状況について公表していますので、ご覧ください。
  • また、あっせん委員会の紛争解決手続の結果の概要(当事者のプライバシーに配慮し、事案の概要のみ)を公表していますので、こちらもご参照ください。