Q. いずれ相続する親の実家、どうすればいい?

<私、悩んでいます>

「両親が住む実家は、最寄りの空港からクルマで2時間はかかる、山間部の農村地にあります。ひとりっ子である私がいずれ相続するわけですが、すでに東京に家を購入して、移り住むことはありません。相続税を心配するほどの広さはありませんが、所有することでのコストが心配です。より良い方法があるでしょうか?(男性/50歳)」

ファイナンシャル・プランナーからのアドバイス

  • 相続をすれば相続税と固定資産税が発生
  • 売却、土地活用、相続放棄、いずれも慎重に行いたい
  • いろいろな選択に対して地元で広く情報収集をしよう
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「とりあえず相続」にも注意が必要

総務省の調査によれば、平成25年の全国の空き家数は820万戸に達し、住宅戸数に締める割合が13.5%と過去最高となりました(※1)。この空き家問題の背景には、地方に住む親の家の相続があります。多くの子ども世代が都市部に移っているため、相続そのものが難しくなっているためです。

では、そういう状況では具体的にどのような選択肢があるでしょうか。

まずはとりあえず相続をして、その後,どうするかは検討するというケース。ただし、その時点で相続税と固定資産税が発生します。
相続税は、法定相続人が1人の場合、3600万円までの基礎控除があります。土地と家屋にそれだけの資産価値がなくても、相続は預貯金などを含めたすべての資産が対象となりますので、そこは注意が必要です。
また、固定資産税は土地家屋を手放さない限り毎年課税されます。加えて、空き家のままの放置は何かと不安ですが、それを避けるため更地にすると、その費用に加え、固定資産税の優遇措置が外れ、税額が最大6倍に跳ね上がってしまいます(※2)。現在の税額だけでも、ご実家に確認すべきでしょう。

地方ほどハードルが高い土地の再利用

次に、相続後すぐに売却するという選択肢。2016年の税制改正(※3)により、それまで対象外だった空き家も、売却益から3000万円が特別控除されることになりました。ただし、「昭和56年5月31日以前の建築家屋であること」など適用条件が細かく設定されているほか、地方の土地家屋は売却そのものが難しいのが現状です。

多少手を入れて家屋を人に貸す、あるいは建替えてアパート経営といった土地活用も可能でしょうが、それだけのニーズがあるかどうかを見極める必要があります。その場合の建築コストや固定資産税を考えれば、資金面でのリスクも無視できません。

相続そのものを放棄すれば、税金やその他のコストを抑え、かつ相続にかかる時間も手間も省けます。ただし、その場合、それ以外のすべての資産を放棄することになります。また、土地家屋を市区町村へ寄付するという例も見られますが、維持管理費がかかるため、自治体から断られるケースも少なくないようです。

どのような選択肢も一長一短あり

さらに言えば、まったく考えていなかった田舎暮らしも、何かのキッカケで魅力を感じ、定年後は自分の育った土地で生活したいと思うかもしれません。そうなれば、それなりに手間やコストはかかりますが、現在住んでいる都内の自宅を人に貸すといった方法もあります。
つまりは、どの選択肢も一長一短があるということです。

今はいろいろな選択肢を用意しながら、実家が利用されている地元金融機関や司法書士、税理士、不動産業者などに幅広く相談し、情報収集をしてみるといいでしょう。

(※1)総務省統計局「平成25年住宅・土地統計調査」
(※2)敷地面積が200平方メートル以下の住宅用地の敷地面積の課税標準額は、固定資産税評価額の6分の1、敷地面積が200平方メートルを超える部分は3分の1となるというもの。また、2015年度の税制改正により、それまで優遇措置を受けられた「空き家」はその対象から除外されることになる。
(※3)「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」。2016年4月から2019年12月までが特例期間。ただし、短期間でも貸し出すと対象外となるため、売却するか賃貸として利用するかは事前にしっかり判断する必要がある。