Q. 起業したいのですが、資金調達はどうすれば?

<私、悩んでいます>

「飲食業界で働いてきて10年。そろそろ念願の独立開業に動き出そうと考えています。そこで問題となるのは資金。当然、自己資金では足りませんので、借りることになるわけですが、何の実績もない自分にどれだけ貸してくれるのか。またそのためには今後どのような準備をすればいいのでしょうか?(男性/32歳)」

ファイナンシャル・プランナーからのアドバイス

  • まずは事業計画を策定して銀行などの金融機関に相談
  • 一定額の自己資金を準備しておくことも必要
  • さらに、クラウドファンディングなど新たな手法もあります
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しっかりとした事業計画を策定しよう

起業する場合、その最初のハードルが資金調達です。どれだけ貸してくれるか不安とのことですが、融資を受ける場合、大事になるのが事業計画です。

初めての起業では過去の実績がないため、将来どれだけ利益をあげられるのか、その予測でしか融資する側は判断できません。十分説得力のある事業内容や明確な資金の使いみち、返済計画を立てることが必要です。
まずは、事業計画書を作成し、銀行などの金融機関に相談してみましょう。
なお、その際、一般的には一定額の自己資金を準備しておくことが必要です。住宅ローンでは自己資金は「物件価格の2割」が基準になっていますが、起業の場合は少なくとも3分の1、できれば2分の1は用意したいところ。ほとんどの創業融資には自己資金の割合が要件としてあり、それがある程度用意できれば(しかも地道にコツコツと積み立てていれば)信用につながるからです。
飲食業など、設備に初期投資が必要な業種は500万~1,000万円、それ以外の業種でも200万~300万円を目指しましょう。

クラウドファンディングという選択肢も検討可能

銀行などの金融機関からの融資や公的な制度を利用するほかにも、直接、事業に出資する人を見つけて資金調達する方法もあります。例えば、株式や社債による資金調達は直接金融と呼ばれますが、こういった伝統的手法に加えて、最近はITを活用したクラウドファンディングなどの新たな方法も生まれています。
クラウドファンディングは、明確な定義があるわけではありませんが、不特定多数の人がインターネット等を通じて他の人々や会社、各種団体に資金提供を行うことを指す言葉です。形態によっていくつかの種類に分けられますが、物品や権利を購入することで、プロジェクトを支える「購入型」、寄付金を資金提供してリターンを求めない「寄付型」、プロジェクトに対して投資や融資などで出資を募る「投資型」という分類をされることが一般的です。なお、この「投資型」のクラウドファンディングは、2014年に金融商品取引法が改正され、1人当たり50万円を上限に総額1億円の資本を調達可能となったことで注目を集めており、今後活用が増加することが期待されます。