消費者保護に関する対応

 全銀協は、銀行業界の共通の問題意識にもとづき、お客さまが安心して銀行との取引をしていただけるよう、銀行と消費者間の取引の公正性確保のためのルールの制定や、トラブルを解決するための取組みを行っています。

全国銀行協会相談室・あっせん委員会・銀行とりひき相談所

 全銀協は銀行法および農林中央金庫法上の指定紛争解決機関の指定を受け、「全国銀行協会相談室」を設置し、お客さまからの銀行取引に関する相談や苦情を受け付けています。

 具体的には、貯蓄相談や住宅ローンをはじめ各種ローンの利用方法、外貨両替・外国送金、手形・小切手の決済や、銀行で販売した公共債・投資信託、保険などに関する相談のほか、銀行業務に関する苦情や要望を受け付けています。全銀協は、これらの業務が適正に行われるよう「苦情処理手続および紛争解決手続等の実施に関する業務規程」を制定しています。

 なお、銀行とのトラブルがなかなか解決しないお客さまは、全銀協が設置する「あっせん委員会」をご利用いただけます。「あっせん委員会」は弁護士、学識経験者、消費者問題専門家、金融業務等に係る有識者等で構成される中立・公正な委員会です。「あっせん委員会」は、お客さまと銀行の双方から資料等の提出を受けたうえで、事情をお聞きし、解決のためのあっせん(和解)案等を提示します。

 また、全国銀行協会相談室は、経済的な事情等により住宅ローンやカードローン等の返済が困難となっているお客さま(個人)を対象に、専門のカウンセラーによる「カウンセリングサービス」を実施するとともに、中小企業向け融資に関する相談窓口を設け、銀行からの融資に関する中小企業の方の相談・苦情を受け付けています。

 このほか、各地の銀行協会(全国50協会)でも「銀行とりひき相談所」を設置して各種の相談等に応じています。

被災者の債務整理に関する取組み

 住宅ローンなどを借りながら地震等の自然災害に被災した場合、その自然災害の影響によって、債務を抱えたままでは再スタートが困難になることが考えられます。こうしたことから、全銀協を含む金融機関等関係団体の自主的自律的な準則である、「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」や「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の策定に参加し、そのような個人の方が法的倒産手続によらずに債務整理を申し出るための枠組みを整えています。

消費者契約のあり方

 銀行は多様化するお客さまのニーズに的確に対応するよう、創意と工夫によりさまざまな金融商品・サービスの開発・提供に努めています。この業務展開にあたっては、トラブルを未然に防ぎ、市場の健全な発展を図っていくことが重要であり、とりわけ、情報量等に格差のある消費者の方々との間に、より適正かつ健全な取引関係を構築していく必要があります。

 このような観点から、全銀協は銀行と消費者との契約全般を対象とした「消費者との契約のあり方に関する留意事項」を制定しています。これは、銀行が適切な情報提供や契約内容の合理性・わかりやすさの確保等を進め、お客さまとの間でより対等な契約関係を構築していくための参考に資するものです。