金利指標改革への対応

 様々な金融取引(貸出・債券・デリバティブなど)で利用される金利指標については、近年、グローバルに改革の取組み(金利指標がより透明性、信頼性の高いプロセスによって算出・決定されるための取組み)が進められてきました。
 改革の結果、公表を停止することを決定した金利指標がある一方で、公表を継続し、さらなる改革を進めている金利指標もあるなか、全銀協では、金融機関やそのお客さまが、混乱せず、安心して金利指標を適切に選択・利用できるようサポートする取組みや必要な情報発信等を行っています。
 例えば、本邦で幅広い利用が確認されおり、今後も公表を継続する金利指標として改革が進められてきた「日本円TIBOR(Tokyo Interbank Offered Rate)」について、全銀協は、同指標を利用する契約を安心して継続できるよう、「フォールバック条項」の導入を支援する活動等を行っています。
 全銀協の取組みの詳細は、以下をご覧ください。

日本円TIBORを利用する契約へのフォールバック条項導入について

 日本円TIBORは、本邦において幅広い利用が確認(※)されている代表的な金利指標の1つです。全銀協TIBOR運営機関により、毎営業日、算出・公表されているほか、今後も公表を継続する金利指標として、同運営機関により改革の取組みが進められています。
(※)詳細は全銀協TIBOR運営機関の公表資料をご参照ください。

 全銀協は、同運営機関による改革の成果のうち、日本円TIBORの利用者に求められる対応(万一の公表停止に備える対応やその方法(フォールバック)を契約上明確にする取組み=フォールバック条項の導入)が、本邦において円滑かつ効率的に進むよう、施策を展開しております。

日本円TIBORを参照する相対貸出のフォールバック条項の参考例(サンプル)の公表

 特に多くの利用が想定される「相対貸出」取引において、その利用者が、円滑かつ効率的にフォールバック条項の導入手続き等を進めていくことができるよう、公表したものです。詳細は下記のニュースリリースから各資料をご確認ください。
 なお、個別案件で利用されるフォールバック条項は、契約当事者間で十分協議し、両者合意のうえで設けられる必要があります。本参考例は、そうした合意形成のプロセスの一助となるよう、あくまで一つのサンプルとして作成されたものです。

日本円TIBORを参照する契約へのフォールバック条項の導入に関するファクトシートの公表

 貸出取引を念頭に、フォールバック条項を円滑に導入することができるよう、その背景やポイントを全4ページで簡潔に取りまとめたもので、主に、銀行がそのお客さまにご説明する際の参考資料として利用することを想定した資料です。詳細は下記のニュースリリースからご確認ください。

金利指標(日本円TIBORを除く)に係る全銀協の取組みについて

 本邦では、金利指標改革の取組みが進められるもとで、(前述の日本円TIBORのほか)日本円のリスク・フリー・レートである「無担保コールオーバーナイト物レート(TONA(Tokyo Overnight Average Rate))」や、ターム物リスク・フリー・レートとして構築された「東京ターム物リスク・フリー・レート(TORF(Tokyo Term Risk Free Rate))」等が、金利指標として利用されています。
 このうち、TONAを利用するお客さまが、その契約手続きに際し、必要に応じてサンプルのようなかたちで適宜参照・利用することを想定し、全銀協は、「TONA複利(後決め)レートの規定参考例」および「リスク・フリー・レートの用語集」を作成、公表(2021年1月)しております。各コンテンツについては、下記のニュースリリースからご確認ください。

※ なお、具体的な個別案件で利用される規定内容は、契約当事者間で十分協議し、両者合意のうえで設けられる必要がある点にご留意ください。

 また、全銀協は、本邦のみならず海外主要法域で検討されてきた金利指標改革の取組みや、金利指標の適切な利用に関する議論についても、検討内容のフォロー等を行っております。

公表停止された金利指標を巡るこれまでの全銀協の取組み

 全銀協は、金利指標改革の結果、公表停止に至った金利指標「LIBOR(London Interbank Offered Rate)」について、その公表停止に備える関係者の取組みをサポートする観点から、特設ページを開設し、情報発信等を行ってきました。

  • LIBOR特設ページ・・・わが国でも幅広く利用されてきたLIBORの廃止が金融市場に与える影響は非常に大きいことから、企業や金融機関をはじめ様々な関係者が適切に公表停止(2021年12月末)に備えることができるよう、必要となる対策やQ&A等をまとめました。


 また、同じく公表停止に至った「ユーロ円TIBOR」について、2024年12月末の公表停止を念頭に、円滑かつ効率的に契約変更手続き等を進めていくことができるよう、フォールバック条項の参考例およびその解説を作成し、公表しました。同参考例等は下記のニュースリリースからご確認ください。


 全銀協は、各種金利指標における改革の取組みやその適切な利用に関する議論をフォローのうえ、意見発信等を行ってまいります。