もうひとつが「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」です。30歳未満の受贈者(孫など)が直系尊属(祖父母など)から教育資金の贈与を受けた場合、受贈者1人あたり最大1,500万円までが非課税となります。教育費は入学金、授業料のほか、学校の寮費、通学交通費、修学旅行代や給食費も含まれます。さらに500万円までは進学塾、水泳、英語、ピアノといった習い事にも適用されます。
適用となる受贈者は0〜29歳。ただし、23歳以上は習い事代が非課税の対象外となります。同様に、受贈者側の所得が1,000万円超の場合も対象外となります。
この措置が暦年贈与や都度贈与と大きく異なるのは、事前に一括して贈与を受けることができるということ。銀行や信託銀行などと一定の契約(教育資金口座に係る契約)を締結して専用口座を開設し、受贈者が領収書等を提出することで教育資金をそこから引き出します。
注意点としては、制度の適用が2026年3月末までということ。また、受贈者が30歳に達する(※1)など、教育資金口座に係る契約が終了した場合、その残額は贈与税の課税価格に算入されること、贈与者が亡くなった場合の残額は相続等により取得したものとみなされる(※2)こと等があげられます。
また、2023年度税制改正により、信託等があった日から教育資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が亡くなった場合、当該贈与者の相続税の課税価格の合計額が5億円を超えるときは、受贈者が23歳未満である場合等であっても、残額については、当該受贈者が当該贈与者から相続等により取得したものとみなされること等が措置されました。本改正は、2023年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る相続税について適用されます。
(詳しくは国税庁のウェブサイト等をご確認ください)
なお、暦年贈与、都度贈与、教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置は、それぞれが併用可能です。時期や金額、利用しやすさなどを考慮しながら、上手に組み合わせて活用するとよいでしょう。
(※1)受贈者が30歳に達した時点で在学、教育訓練中であるときは、その期間終了時と40歳の早い日を終了日とする。
(※2)2021年4月1日以後に締結した契約で、受贈者が被相続人の孫(代襲相続人を除く)の場合、相続税額の2割加算が適用。ただし、受贈者が23歳未満、もしくは学校等に在学している場合は、相続等による取得とはみなされない。