民法改正により、息子の嫁が寄与分を要求する権利は法的に認められました。しかし、実際にそれを受け取るのはそう簡単ではありません。
民法904条の2にある「寄与分」の説明は「特別の寄与をした者」に対して相続財産を分配する制度とあります。なぜ「特別」と記されているかと言えば、親族であれば身内を助けるのは当然という前提があるからです。
では、どのような内容であれば「特別」なのでしょうか。条件として無償性、継続性、専従性が必要となります。過去の判例を参考にすれば、介護なら少なくとも継続して1年以上、家業の手伝いなら3年以上。しかも、臨時や片手間という形ではなく、ご相談者のように、パートを辞めてまで行うといった、生活に負担を強いられる程度に専念し、しかもそれが無報酬かそれに近い状態でなくてはならないということになります。
さらに、遺産分割協議の場で「特別の寄与」に対する具体的な金額が話し合われ、相続人全員が了承しないと特別寄与料を受け取ることはできません。もしもその場では話がまとまらない、納得した金額とならない場合、家庭裁判所に間に入ってもらうことも可能です。その際、裁判所の判断材料として介護日誌や出費のわかる領収書等の提出が大変重要となります。
しかも、この請求権には時効があるので注意してください。権利行使期限は相続開始および相続人を知った日から6ヵ月以内、または相続開始のときから1年以内のいずれか短い方です。また、受け取った寄与分は相続税の対象となります。