Q.住宅購入に有利な資金援助の制度はありますか?

〈私、悩んでいます〉

住宅購入を考えていますが、希望する条件で探すと、400万〜500万円程度、予算オーバーしてしまいます。そこで、親に相談したところ、その金額なら資金援助をしてもいいと言われました。親からの資金援助にはいろいろメリットのある制度があるとのことですが、この場合、どのようなものを利用すればいいでしょうか?(女性/33歳)

ファイナンシャル・プランナーからのアドバイス

  • 「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」の非課税額は最大1,000万円
  • 「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」は手軽に利用できる「暦年贈与」との併用も可能
  • 非課税制度の内容を理解して、上手に組み合わせることが重要
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契約時期、消費税率、住宅の性能で異なる非課税額

贈与税の非課税制度や特例はいくつかあります。「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」もそのひとつ。自身が住む住宅家屋の新築または増改築等の資金として、父母や祖父母からの資金援助を受けた場合、一定額まで贈与税がかからないというものです。

非課税額は住宅取得等の契約時期や取得時の消費税率、住宅の性能によって異なります(表参照)。実際に非課税額がいくらになるかについては、住宅の販売会社や住宅ローンを組む金融機関等に確認、相談をしておくといいでしょう。

受贈者となる子供・孫等は、贈与を受ける年の1月1日で満18歳以上、贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下(または1,000万円以下)に限られます。非課税の対象となる住宅についても、建物の登記簿床面積が50㎡以上(合計所得金額が1,000万円以下であれば40㎡以上)240㎡以下などの条件が付きます。制度を利用した場合、贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までに贈与税の申告を行う必要があります。また、制度の適用期限は、現時点で2023年末までの契約締結となっています。

「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」の非課税限度額

住宅取得等資金の贈与を受けた日 省エネ等住宅(※) 左記以外の住宅
2022年1月1日~2023年12月31日 1,000万円 500万円

(※)一定の省エネ等基準、耐震等級(もしくは免震建築物)、高齢者等配慮対策等級のいずれかに適合した住宅

非課税額は年間110万円ながら手軽に利用できる「暦年贈与」

一方、贈与税の非課税制度には、目的を限定しないものもあります。「暦年贈与」と呼ばれる贈与税の基礎控除もそのひとつ。受贈者1人につき年間110万円までが非課税となり、これは誰からの贈与でも、どのような目的にその資金を使おうと構いません。

もうひとつが「相続時精算課税制度」。受贈者は、2,500万円まで贈与税を納めずに贈与を受けることができ、贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額から相続税額を計算し、一括して相続税として納税する制度です。贈与者は60歳以上の親または祖父母、受贈者は贈与者の推定相続人である18歳以上の子または孫に限定されます(詳細は「ライフステージ別/相続・贈与」を参照)。また、2024年1月以降は、この2,500万円以外に毎年110万円ずつ贈与していてもそれには贈与税はかからず、申告も不要となること等が措置され、より使いやすい制度となりました。

例えば、資金の援助額が110万円以下であれば、「暦年贈与」の利用が申告の手間もなく、便利でしょう。ご相談のように援助額が400万〜500万円であれば、「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」を併用することで、おそらく贈与の全額を非課税とすることもできるはず。

また、援助額が大きいケースでは、「住宅取得等資金の贈与税の非課税制度」に「相続時精算課税制度」を併用することで、贈与税の非課税枠を大きくすることも可能。ただし、その場合、贈与時は非課税であっても、相続時に相続税が発生する可能性もあります。ともあれ、各制度の内容を理解した上で、上手に活用することが重要となります。

※ このページは、2023年4月1日現在の法令等にもとづき記載しています。最新の直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度や相続時精算課税制度については、国税庁ウェブサイト国土交通省ウェブサイトをご覧ください。