Q.マイナス金利だと住宅ローンも「借換えどき」なのでしょうか?

〈私、悩んでいます〉

マイナス金利の影響で住宅ローンの金利も下がっていると聞きます。現在、7年前に購入したマンションの住宅ローンを返済中ですが、子どもたちが中学、高校と進学するにつれ、教育費の負担が増えてきました。住宅ローンの借換えで毎月の支払いが減額できればと思っていますが、マイナスの金利の今がそのいい機会なのでしょうか?」(女性/41歳)

ファイナンシャル・プランナーからのアドバイス

  • 借換えによる諸費用を考慮した上で、その効果を考えよう
  • 金利差、ローン残高、残りの返済期間で借換えの「損得」が決まる
  • 金利は多少高めでも固定型金利を選択肢に加えよう
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借換えとは「新たにローンを組むこと」と同じ

住宅ローンの借換えとは、ローンの借入先を現在の金融機関とは別の金融機関に変更することです。そのことにより、住宅ローンの適用金利が下がれば、今後支払うローンの総額も下がりますから、毎月の支払額の軽減が期待できます。
また、マイナス金利の影響で住宅ローンの金利も低下しています。相談にあるように「借換えどき」という表現も決して外れてはいません。教育費アップで家計負担が大きくなっているのなら、積極的に考えていいでしょう。

ただし、単に金利が下がったから「得になる」とは限りません。そのポイントとなるのが「借換えコスト」です。借換えは、新たな金融機関で新たにローンを組むことになりますので、現在のローンの契約時に発生した諸経費(事務手数料、税金、司法書士報酬など)がここでも発生します。その額は、金融機関などによって異なりますが、ローン残高の3〜5%程度が大まかな目安になるかと思います。
たとえば、ローン残高が2000万円だとして、諸費用が80万円(残高の4%)だとすれば、借換えによって軽減される支払い利息が80万円以上でないと、その効果は得られないわけです。

目先の低金利より、安定した低金利

諸費用を踏まえたうえで、借換え効果が得られる場合の条件としてよく挙がるのが、「金利差1%以上」「ローン残高1000万円以上」「返済期間10年以上」です。実際はもう少し条件を下げても効果はあるようですので、借換えを考えている金融機関に試算してもらうといいでしょう。

また注意すべきは諸費用の捻出です。契約時にまとまった資金が必要になりますが、それによって手持ち資金が大きく減るというのでは、家計リスクをともないます。諸費用が用意できない場合でも、それを含めた借換えローンを用意している金融機関もありますが、そのことで借換え効果がどの程度下がってしまうのかも、十分検討してください。

利用する金利については、もっとも返済額を下げるのなら変動金利を選択することになりますが、同様に全期間固定型や10年固定といった長期の固定金利期間選択型の住宅ローンも金利が下がっています。
変動金利による将来的な金利上昇リスクを抱えるより、借換え効果が期待できるのであれば、多少金利は高くとも、固定型を選択するのも大事なポイントとなります。ただし、借換え後も積極的に繰上返済を行う予定であれば、変動金利の選択肢もあっていいでしょう。