Q. 将来、夫が要介護になったらと思うと不安です。どのように備えを?

<私、悩んでいます>

「夫はこれまで大きな病気やケガもなく、病院とは無縁の生活を送ってきました。加入している医療保険の掛け金が無駄と思えるほど、今も元気です。しかし、そんな夫もいつ介護が必要となるかわかりません。そう考えるととても不安です。介護費用はどうやって準備していけばいいでしょうか ?(女性/55歳)」

ファイナンシャル・プランナーからのアドバイス

  • 公的介護保険が備えのベースになる
  • 介護費用の自己負担額は「1割」または「2割」
  • 不足分は貯蓄か民間の介護保険でカバー
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全世帯の1割が65歳以上の要介護者を抱える時代

長寿社会となれば当然、問題となってくるのが介護です。厚生労働省の調査によると、平成28年4月末時点の65歳以上の要介護認定者数は622万人(※)。この数字を世帯数で割れば、全体の約1割の世帯に要介護者がいるということになります。

さて、まず介護にはどんな費用が発生するでしょうか。主なものとしては介護サービス費、住宅改修費、そして介護用品購入費の3つ。そして、それらに対して、備えのベースとなるのは「公的介護保険」です。
公的介護保険は40歳になった時点で、健康保険の加入者すべてが自動的に被保険者となり、要支援、要介護の認定を受けた場合、介護サービスを受けられるというもの。65歳以上(第1号被保険者)であれば、介護状態となった原因を問わずサービスを利用できますが、40~64歳の被保険者(第2号被保険者)は、認定された16の疾病が原因で介護が必要になった場合に限られます。

要支援、要介護と認定されると、ケアマネージャーと相談し、具体的なケアプランを作成します。
被保険者はそのケアプランに即して、訪問介護や介護福祉施設などでのデイサービス、ショートステイ、あるいは入所による入浴や食事、リハビリ等の生活援助を受けることができます。これら介護サービスにかかった費用は、要介護度ごとに公的介護保険による1カ月の上限が決まっていますが、その範囲内であれば自己負担額は1割または2割(一定以上の所得のある人)で済みます。加えて、福祉用具の購入費は年間10万円、介護のための住宅修繕費は同一住宅に対して1人1回20万円をそれぞれ上限として、その1割ないし2割が自己負担額となります(上限を超えた金額については全額自己負担)。

公的介護保険を利用してもかかる介護費用は小さくない

しかし、公的介護保険だけでは、実際の介護費用はカバーできないのが実情です。
介護サービス費用は要介護区分ごとに上限を設定し、それを超える金額については自己負担となるためです(表参照)。また、公的介護保険の範囲外の費用も発生します。施設での食事代、レクリエーション費、紙おむつ代など。また、介護タクシーの利用や家事代行サービスなどの利用も自己負担となります。

たとえば、要介護3の被保険者の介護について、在宅サービスを利用した場合の平均額は15万6,700円ですから(表参照)、自己負担額は1万5,670円。これに先の保険対象外の支出が仮に月額1万円としたら、計2万5,670円。毎月これだけ支出が発生するわけですから、家計にとって決して小さな額ではありません。実際、公的介護保険を利用しての自己負担の総額は平均300万円程度と言われています。

そういった自己負担額については、貯蓄もしくは民間の介護保険でカバーしていくことになります。
ただし、民間の介護保険で注意したいのは、公的介護保険での介護認定とは別の認定基準を設けているケースがあること。事前に確認しておかないと、保険金の支払に影響が出ることもあります。

(※)平成28年4月分「介護保険事業状況報告」より。「要介護1~5」および「要支援1~2」と認定された第1号被保険者(65歳以上)の合計

■在宅サービスの支給限度額と平均費用額(月額)

要介護状態区分 支給限度額 受給者1人当りの平均費用額
要支援1 5万0,030円 2万2,900円
要支援2 10万4,730円 4万1,960円
要介護1 16万6,920円 7万5,800円
要介護2 19万6,160円 10万4,560円
要介護3 26万9,310円 15万6,700円
要介護4 30万8,060円 19万0,490円
要介護5 36万0,650円 23万3,080円


(※)支給限度額は標準地域のケース。
また、平均費用額は厚生労働省「平成25年介護給付費実態調査/11月審査分」より。
また、ここに示した在宅サービスと入所サービスでは金額が異なります