Q.結婚費用を援助してもらうと贈与税はかかりますか?

〈私、悩んでいます〉

来年結婚する予定ですが、その費用の一部を両親や祖父母が援助してくれることになっています。それはとてもありがたいのですが、金額によっては税金が発生するのではないかと心配しています。せっかく援助してくれるので、できれば税金のかからないようしたいのですが、大丈夫でしょうか?(30歳/女性)

ファイナンシャル・プランナーからのアドバイス

  • 結婚資金は1人300万円まで贈与税が非課税
  • 制度の適用は2025年3月31日まで
  • 非課税対象とならない費目もあるので注意が必要
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金融機関に専用口座を開設する

結婚費用は決して小さな額ではありません。挙式、披露宴等にかかる費用は平均でおよそ304万円という調査データ(「ゼクシィ 結婚トレンド調査2022」)もあります。その資金を両親や祖父母から援助してもらえば助かりますが、その内容によっては贈与税が発生します。そこで活用したいのが「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」です。

同制度はその名のとおり、結婚の他、教育資金でも活用できます。非課税額は1人あたり結婚資金が300万円、子育て資金は1,000万円まで。両親や祖父母が子や孫の名義で銀行や信託銀行などに専用口座を開設し、そこに必要な資金を一括して拠出します。制度が利用できる子、孫(受贈者)は18歳以上50歳未満。結婚や子育てのために使った資金の領収書等を金融機関に提示すれば、それと引き換えに入金された資金を引き出すことができます。

また、この制度は受贈者1人あたり年間110万円での贈与税の基礎控除額(暦年贈与)との併用が可能となります。

制度の適用期限や対象外の費目に注意が必要

ただし、利用するにはいくつか注意点があります。まず、受贈者側の所得が1,000万円超の場合、制度は利用できません。

また、制度の適用は2025年3月末まで。口座は受贈者が50歳に達した日に終了となります。そのとき口座に資金が残っていると、その残金は贈与税の課税対象となります。また、いったん口座に入った資金は、資金を出した両親や祖父母(贈与者)と口座名義が異なるため、贈与者が自由に使うことはできません。

加えて、対象となる結婚・子育ての費目は細かく分けられています。たとえば、挙式費用は対象となりますが、新婚旅行は対象外です。主なものは以下の表にまとめましたが、詳細はこども家庭庁のウェブサイトなどで確認するといいでしょう。

主な非課税となる費目、ならない費目

結婚費用
非課税となる費目 非課税とならない費目
◎挙式や結婚披露宴を開催するための費用
  • 会場費
  • 衣装代
  • 引き出物代
  • 写真・映像代など
◎結婚を機に受贈者が新たに物件を賃借する際の費用
  • 賃料、共益金、敷金、礼金、仲介手数料など
  • 引っ越し費用
◎挙式や結婚披露宴に直接は関係ない費用
  • 婚活費用
  • エステ代
  • 結納式費用
  • 結婚指輪、婚約指輪の購入
  • 新婚旅行費用など
◎新たに物件を賃借する際の費用以外の生活費
  • 駐車場代
  • 水道光熱費
  • 家電、家具の購入費用など
子育て費用(※)
非課税となる費目 非課税とならない費目
  • 不妊治療費用(人工授精、体外受精、その他一般的な治療費および医薬品代)
  • 母子健康法に基づく妊婦検診に要する費用
  • 出産のための入院から退院までの費用
  • 受贈者の子に要した医療費
  • (治療費、予防接種代、健診費用、医薬品代)
  • 受贈者の子に要した幼稚園、保育園費用
  • 受贈者の子に要した食費、その他育児に必要な費用
  • 不妊治療、妊婦検診のために遠隔地や海外に渡航する際の交通費、宿泊費
  • 出産による通院にかかる交通費、海外で出産する場合の交通費、宿泊費
  • 処方箋に基づかない医薬品代や交通費

(※)海外の病院で受けた治療や海外の学校施設で発生した費用は対象外