Q.ライフプランに資産形成はなぜ必要なのですか?

<私、悩んでいます>

「来年に出産を控えている主婦です。今後も教育資金もかかりますし、できればマイホームも欲しいと考えています。そう考えると、あらためて貯蓄に励まなくてはと思っているのですが、最近よく「ライフプランには資産形成が大事」ということを耳にします。貯蓄と資産形成は何が違うのでしょうか? 違うのであれば、なぜ資産形成が必要なのでしょうか?(女性/27歳)」

ファイナンシャル・プランナーからのアドバイス

  • インフレによって貯蓄は目減りしてしまうことを知ろう
  • 資産形成はインフレリスクに備えるための手段
  • 余裕資金の一部を運用に回すというスタンスが大事
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ライフプランを考え、それを具体化していくには、資金が必要です。相談者のように、今後は教育費が発生し、マイホーム購入という希望があれば、住宅資金も必要です。そして、先の話ではありますが、老後にも備えなくてはいけません。しかも、これらには共通点があります。人によって金額の違いはありますが、いずれも「まとまった資金」が必要となることです。

これら資金をつくるための安全確実な方法として、毎月の給与やボーナスからの貯蓄は基本となるものです。しかし、日本経済全体がインフレ傾向になったら、どうでしょうか。1万円で購入できたものが1万500円に値上がりすれば、お金の価値が下がったことを意味します。

相談者のケースを例に考えてみましょう。仮に、生まれてくるお子さんが小学校入学のタイミングでマンションを購入するとします。その頭金として、8年間で500万円を用意できたとしても、インフレが進み、マンション価格が上昇していれば、当初購入を想定していた物件価格を下げなくてはいけません。
老後資金は、それが必要となるには30年以上も先。インフレのリスクに加え、少子高齢化により、現状の社会保障制度の維持も難しくなるのではないかと言われています。今、必要とされる額では足りなくなる可能性も十分考えられます。

貯蓄の一部を運用するのが資産形成

「運用」は、このようなリスクに備える効果があります。具体的には、株式や投資信託などを購入し、その運用成果(値上がり益、配当、分配金など)を期待することです。普通預金や定期預金など、元本保証の貯蓄商品でお金を蓄えていく「貯蓄」に対して、貯蓄に充てる資金の一部を運用に回すなど、その運用を上手に取り入れて資産をつくっていく方法が「資産形成」です。

では、なぜ運用がインフレリスクに備えることになるのでしょうか。一般に、インフレの進行に昇給や預金金利の上昇はなかなか追いつけません。一方、運用による資産の増額幅は、インフレの速度に追いつくことが期待できるからです。

しかし、貯蓄にはないリスクが運用にはあります。価格変動によって元本そのものが減る=損失する可能性を持ち合わせているのです。したがって、貯蓄によって安全確実に資産を増やしながら、余裕資金の一部を運用するというスタンスが望ましいでしょう。
余裕資金の額は当然、各世帯によって異なりますが、投資経験がないのであれば、まずは月に数千円程度から始めてはどうでしょうか。運用と聞くと、大きな額をイメージするでしょうが、少額を積み立てることで、価格変動のリスク軽減効果が生まれます。しかも、それは長期期間であるほど効果が高まるのです。20代、30代といった若いうちから資産形成を始めるメリットは、そこにもあるのです。