Q. リスクのない住宅ローンの組み方を教えてください

<私、悩んでいます>

「子どもが現在3歳なので、小学校入学に合わせてマンションを購入したいと考えています。希望エリアでの新築物件は3,300万円台。当然、住宅ローンを組むことになりますが、夫が現在32歳ということもあり、大きな額を借りる不安もあります。より安全にローンを組みポイントがあるでしょうか?(女性/33歳)」

ファイナンシャル・プランナーからのアドバイス

  • 「どのくらいなら返済できるか」を基準に考える
  • 忘れてはならない住宅のランニングコスト
  • 無理があれば希望する物件価格を下げてみることも大切
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「借りられる額」と「返済できる額」は必ずしも一致しない

無理のない住宅ローンは「どれだけ借りられるか」ではなく「どのくらいなら返済できるか」を基準に、その借入額を決めることです。
住宅購入となると往々にして資金計画で無理をしがち。しかし、多額の借り入れを長期間で返済するわけですから、低金利であってもその総返済額は大きなものとなります(図表参照)。毎月の返済額が多少増えても大丈夫だろうと考えた結果、徐々にその返済が重い家計負担になるという例も少なくありません。したがって、その返済が十分可能な範囲を基準に、物件価格や購入時期を決めていくことが、結局は無理のない資金計画につながるのです。

借入額に対する毎月の返済額と総返済額の比較借入条件/返済期間30年、全期間固定・金利2.0%、ボーナス払いなし

借入額2,000万円4,000万円6,000万円
毎月の返済額7万4,000円14万8,000円22万2,000円
総返済額2,661万3,000円5,322万5,000円7,983万8,000円
借入額との差額661万3,000円1,322万5,000円1,983万8,000円

(※)表内の数字は四捨五入しています。また、実際の借り入れでは金融機関によって返済額が若干異なる場合があります。

では、「どのくらいなら返済できるか」という視点から、具体的に資金計画を考えてみましょう。そこで忘れてはならないのが、住宅のランニングコストです。
マンションの場合、毎月管理費や修繕積立金、クルマを所有していれば駐車場代が発生します。当然、個々の物件によってその額は異なりますが、目安としては合計で2万~5万円といったところ。加えて、固定資産税・都市計画税が軽減措置期間であっても年間9万~12万円(新築、物件価格3,300万円台、専有面積70~80㎡の場合)。引っ越したその月から、これだけの費用が住宅ローンとは別に発生するのです。

無理のない借入額から無理のない物件価格を

ランニンググコストを支払い、一定額の貯蓄も確保した上で、無理なく支払える住宅ローンの返済額が、仮に月9万円だったとしましょう。3年後の購入を希望するなら、夫はそのとき35歳ですから、完済時の年齢を65歳とすると借入期間は30年。金利2.0%、ボーナス払いなしという前提で無理のない借入額を試算すると2,434万円となります。購入時期までに貯めた頭金をそれに足せば、無理のない物件価格が割り出せます。もし、それが購入時にかかる諸費用を除いて500万円の頭金であれば2,935万円までの物件が購入可能というわけです。

もし、希望する物件の価格に購入可能額が届かなかったらどうすればいいか……。
たとえば、新築希望を中古も可に切り替える。あるいは都市部から郊外にエリアを広げてみるなど、より価格の低い物件を探してみましょう。物件の選択肢を広がったことで、本当に望んでいた住宅に出合えることだってあるかもしれません。ともあれ、無理のない住宅ローンを模索することは、本当に自分に合った住宅資金づくりを見出すことなのです。