ただし、利用にあたり注意すべき点もあります。まず、原則として拠出した資金は60歳以降でなくては引き出せません。
個人型の確定拠出年金(愛称「iDeCo(イデコ)」)の拠出額は、企業年金のない会社員の場合、月額5000円〜23,000円。この額は年に一度変更ができ、またいつでも停止や再開ができます。したがって、とくに若い世代は、教育資金や住宅資金がかさむ時期など、そのときどきのマネープランに応じて無理のない額に調整することが大切です。
また、確定拠出年金には投資のイメージがありますが、定期預金などの預貯金商品もあり、それを選べば、元本が減るリスクはありません。一方、債券や株式などで組み入れた投資信託で運用すれば、預貯金以上に増えることも、あるいは元本割れをするリスクもあります。
確定拠出年金による老後資金づくりは、本人がどのような商品を選定するかによって大きくその内容が変わります。リスクがあることも十分理解した上で、将来のインフレに備えるのが目的であれば、分散投資(国内外の債券や株式に投資先を分散する)を意識しながら、運用商品を組み入れることは効果的と言えるでしょう。
もうひとつ確定拠出年金を上手に利用するポイントとなるのが、コストを意識することです。個人型の場合、銀行や証券会社、保険会社などの金融機関で専用の口座を開設しますが、その際に年間数千円の「口座管理料」がかかります。さらに、投資信託を選定すれば、信託報酬などの保有コスト(0.1〜数%)も発生します。たとえ少額でも、長期間になればなるほど、運用成績に影響してきます。
これらコストは金融機関によって異なりますので、品揃えとともに、コスト額もチェックすることが金融機関を選ぶ、あるいは変更する際には重要です。