Q.20代から資産形成を考える必要がありますか?

<私、悩んでいます>

就職して3年目。先日、勤務先の先輩社員からは、そろそろ資産形成を考えた方がいいよと言われました。ただ、資産形成には「まとまった資金で投資する」というイメージがあります。20代で独身、しかも最近やっと貯蓄ができるようになった自分にはまだ早いと思うのですが、それでも考える必要はあるのでしょうか?(男性/25歳)

ファイナンシャル・プランナーからのアドバイス

  • 教育資金、住宅資金、老後資金は事前の準備が必要
  • 20代からの資産形成は時間を味方にできる
  • 資産形成は「少額の積み立て」で無理なく行う
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人生の三大資金にはまとまった資金が発生する

資産形成を考える上でまず知っておきたいのが、人の一生にはいろいろな「ライフイベント」があるということ。若い人であれば、進学や就職などが該当します。そしてそれらイベントには、個々に差こそありますが、ほとんどの場合で資金が必要となります。中でも大きな額が必要とされるイベントが「教育資金」「住宅資金」そして「老後資金」です。これらは「人生の三大資金」とも言われています。

とはいえ、20代でかつ独身であれば、それらの必要性を感じる機会は少なくて当然でしょう。また、結婚をしない人もいれば、住宅を購入する必要のない人もいます。しかし、将来どのようなイベントがあるにせよ、人生を歩んでいく上で資金は必要です。具体的な目的、目標を決めずとも、20代からそれについて考える、そして実際に資金を準備することは、決して無駄にはなりません。
また、20代で結婚している場合は、すぐに資金づくりに取りかかるべきライフイベントが待ち構えています。必要な時期に資金が足りないという事態に陥らないためにも、しっかりマネープランを立て、それに則した資金の準備を始めるべきでしょう。

では、なぜ、貯蓄ではなく、資産形成なのでしょうか。資産形成とは、貯蓄に充てる資金の一部を運用に回すことで、より資産を増やすことを目指すものです。貯蓄だけに依存しない資産づくりを取り入れることで、将来のインフレリスク(貯蓄の目減り)にも備えることが可能となるわけです。

20代はより「時間を味方にする」ことができる

資産形成を早くから始めるメリットも、忘れてはならない点です。それは「時間を味方にできる」ということ。株式や投資信託など、投資商品は日々価格が変動します。増えることもあれば、損失する可能性もあるわけです。そのリスクを抑えるためにはさまざまな「分散投資」が有効ですが、長期による積み立ての運用は「時間の分散」をすることになります。

20代であれば、まだ給与も高くなく、運用に回すことのできる余裕資金は多くはないはず。しかし、一方で40代、50代と比較して、より運用する時間があります。1回の積み立ては少額であっても、それを長期間積み立てることで、リスク軽減の効果は高まります。また、長期の運用は、より高い複利効果も期待できるのです。

また、少額の運用ならば、価格変動の影響も小さくなります。貯蓄と併用しながら無理なくできる点もメリット。さらに、投資信託であれば金融機関によっては1本千円前後からの積み立てができますから、毎月数千円の積み立てでも数本による「分散投資(投資先の分散)」も可能となります。